そーれ。

わぁ。

らりほ〜

私は低軌道複合体で生活しています。
つい地上の感覚で“上”とか“下”などという言葉を使ってしまうのですが「じーさん、自由落下状態ではモノは常に“落ちる”んだよ」と若い者に窘められる始末。
正月の風物詩である凧あげにしても、ここではバーニア装着凧を重力井戸に落とす“凧落下”なる不吉な遊びに変貌しています。
せめてネット上だけでも凧あげをせんものと、ここに書き込んでみました。

ぼくはスペースコロニーにいます。中心軸の0Gエリアで凧あげをしてみましたが、ぼくと凧は風に流されてフワフワと漂いました。
すると、ぼくは凧をあげてるんだろうか？ひょっとして凧にあげられてるんじゃないか・・・？そんなふうに思えてきたんです。
凧糸が下りエレベーターにひっかかって切れ、凧だけが1Gの地表へ運ばれていくと、なんだか悲しくなって涙がこぼれます。ぼくは涙のしずくと一緒に、しばらくフワフワと漂っていました。

葛飾北斎の触手系オリジナル同人誌『北斎漫画』は、大江戸コミケで爆発的人気を博し、粋でイナセな江戸っ子をして「ロリタコ萌え〜ビバ、触手ぅ！」と言わしめた。

美少女がヌルヌルのタコに陵辱される卑猥さにセックスの新しい方向性を見た江戸っ子は、現実世界に触手を求めて暴走した。
吉原での花魁タコプレイは白昼タコまみれ放置プレイへとエスカレートし、流行に敏感な歌舞伎は『仮名触手本忠臣蔵』で花道をタコで埋め尽くす演出を取り入れて喝采を浴びた。だが、夜ごと町娘にタコを投げて絡ませる“辻タコ”が現れるに及び、奉行所は枕絵ならびに同人誌の摘発を行ない、タコとの性的戯れを禁ずる“蛸法度”を定めたのだ。

この時、すでに11月。冬の大江戸コミケに向け『北斎漫画Vol.2：タコはダメですぅ』製作が佳境に入っていた北斎は、方針の変更を余儀なくされた。
12版刷り豪華触手本である。木版を何版か差し替えて法度逃れをしなければ採算割れは必至だった。
軟体動物がダメなら、触手らしきものを持つ無機物との危険な遊技へと変更するしかない――北斎は苦肉の策で蛸を凧に差し替えたのだが、これが受けた。
「北斎ってばキケンな性の開拓者。無機物萌え〜ッ!! あと、マルチ」

以来、江戸の性文化にフェティシズムを導入した先駆者を讃えるべく、正月に凧をあげる習慣が定着したのである。

そんな伝統的な文化を踏みにじろうとする、不穏な一機の洋凧『エノラ・ゲイラ：通称ファットボーイスリム』
茨城県上空を旋回中。でもダイジョウブ！
やつらにはデビル・フィッシュは食えねぇ！
いくら勝気なアメリカ女でも、こいつに吸い付かせりゃあきっと、
｢私、来るぅ来るぅ」
って〜、一体何が来るってんだ〜こんにゃろめっ！
そしてシラク！オマエもな！
アシジュポ〜ン、アシハポ〜ン。

リバ、ビストラ！
元来羽子上げは蛸つきだったのです。
大陸より伝わった、元旦に多幸を祈って床の間に茹蛸をかざるという風習は、日本人によって曲解され鏡もちとなり、
暴れる蛸の墨を顔に浴びながら茹蛸の下拵えをした年末の風物詩「蛸つき」は、
名前だけを年末の餅つきに、
形だけを正月の羽根つきの際に顔に墨をぬる風習に残し
無病息災を祈り、武者絵や美人画を書いた紙に鳥の羽根を飾り冬の空に飛ばす「羽子あげ」の行事はいつのまにかなまって凧上げなどとと称されるようになりました。
こんなでたらめな風習を行っている日本は、羽子上げや蛸つきの本場、中国大陸の人間にとってはいいお笑い種です。
ていうか、時代はリストラなので、凧上げと羽根つきの両方やるのはもう古い。
これからは羽子板で蛸を打ち合う「羽子蛸つき」の時代です
打ち返さない限り墨まみれ。筆を用意する手間も省けて合理的です